デキるイケメン 二人の求愛   失恋直後のインテリアコーディネーターが選ぶのは!?
「…分かっていてって…それ…何を疑う意図?まあ、状況はわかったよ…それで夕月が自分を責めてるってことだな。じゃあ、それが聞きたかっただけ…それと恭平くん…恭平くんと約束をした時、夕月はドレスが仕上がったことも知らなかったよ。それからね…連れ出している側の僕たちから夕月を責めるのはお門違いも甚だしい。あの森か林かの件からまだ数日のうちに連れ回してるっていう自覚はある?夕月の気持ちが不安定なのは当然だよ。今は夕月最優先で甘やかす時だ。僕はよく知っているよ…中途半端は夕月の一番嫌いな言葉だ。その状況に追い込んでいる自覚を持とうよ、恭平くん」

落ち着いたトーンのまま、じゃあ…と通話を終えた湊さんは

「夕月の気持ちがわかってすっきりした。ぽろっと一滴流れただけなのにちょっと大袈裟に言い過ぎたかなぁ…恭平くんに号泣と思われてたらごめんな、夕月」

と笑いながらポケットにスマホを入れてから

「ドレス、行こうか?」

と私の握りしめたままの両手を広げさせる。

「ははっ、この寒いのに汗かいた?」

彼は私の両手のひらをクスクス笑って自分のコートに擦り付け、そのまま片手を握って引っ張るように歩き始めて前を向いたまま言った。

「夕月がどうして顔色を失ったのか、夕月の考えたことはわかる。ちゃんと昨日の電話でも口にしていたからね。夕月のことだから恭平くんにもはっきりと言っただろ?僕に言ったように良心の呵責を覚えると…それが夕月の精一杯の誠意だと思う。だから自分を責める必要はない」
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