デキるイケメン 二人の求愛   失恋直後のインテリアコーディネーターが選ぶのは!?
歩む者たち
翌朝、玲子さんの視線は私を上から下まで3往復した。

「なーんだ、送ってもらったのね」

面倒くさいやり取りが朝から続かないように

「はい」

と短く答えて1階の鍵を持つ。

「開けてきます」
「あっ、10時に○○さん夫妻が来られることになった」
「わかりました、テーブル準備しておきます」

玲ハウジングのリノベーションやリフォームの全てにインテリアコーディネートが必要なわけではないので、私はどの業務も行う。お客様に合わせて今日は水回りの施工例を見やすく準備しておく。パソコンでも案内するのだが玲子さんとお客様が対面で座るので、写真がファイリングされたものの方が互いに見やすいのだ。

玲子さんの打ち合わせの間に銀行さんなど、数社の新年の挨拶を受け、合間に事務用品と備品の発注を行った。私がコピー用紙やインクから、トイレットペーパーやゴミ袋、ハンドソープまでまとめて注文したあと戻ってきた玲子さんが

「夕月、これ。だいたい決まったからすぐ見積書作って連絡してあげて」
「わかりました」
「金額によってグレードを微調整されると思う。これでご予算ギリギリいけると思っているんだけど、すぐに確かめて欲しい」
「はい」

システムキッチンや床材の品番の書かれた紙をもらうと、図面を見て床面積を確認して計算をする。星本さんからも複数同じような仕事回ってきたので、午後は図面と計算機を前にしたまま終業時間を迎えた。
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