デキるイケメン 二人の求愛   失恋直後のインテリアコーディネーターが選ぶのは!?
謝罪の場面まで伝え

「お母さんの気持ちが…どの気持ちもすごく伝わってきて泣きそうになっちゃいましたよ」

と続けると

「そのお母さんであのピンクさいとー?お母さんもピンク着用してた?」

玲子さんが聞いてくる。

「ううん、オールブラック…この季節、コートを着てるから見える範囲だけどオールブラックにバッグだけワインレッドでした」
「不思議だわ…」
「世間にはいろんな家があって、いろんな親がいるのよ。子育て中にいろんな親子と関わって、今ちょうど斎藤さんやゆづちゃんと同い年くらいになってる子達をたくさん知ってるけど、親がきっちりしているからって子どももそうとは限らないわね」
「そうですか?」
「もちろんきちっと育つことの方が多いけどね。周りから見てきちっとしている親って‘決めつけ’や‘押し付け’の傾向が強い人が一定数いると思うの。ある意味洗脳に近い形で子どもをしつける。だけど、その子どもの中にも自己を守りたいという…無意識でしょうけれど…本能的にそういう思いが働いて厳しい親の言うことをまともに受け止めない子がいる」
「本能的に右から左…」
「そう。斎藤さんももしかしたら、今までのお母さんの言葉は聞くふりだけしていて、親元を離れたら‘お母さんみたいになりたくない’っていう行動を繰り返していたのかも…想像だけれどね」
「母親だけでなく父親も厳しい可能性もあるし、逃げ場がないと子どもは苦しいもんだからな」
「さすが子育て経験者…あり得るわね。私の同級生の中にもいたわ。家は厳しくて、でもその子には‘きちんと’の欠片もなくて…でも今のを聞くと自分を守るために学校では心を空っぽにして軽い言動を繰り返していたのかも」

玲子さんも納得の明子さんと星本さんの話に、私もあり得るとは思ったけど、そしたら赤ちゃんは…大丈夫なの?と余計なお世話と言われそうな心配をしてしまった。
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