束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】

2. 甘やかされて

「彩子、ちょっと待ってて」

 洋輔は下着だけ履いて寝室をあとにすると一分もしないうちに戻ってきた。手には水の入ったグラスを持っている。

「彩子、はい。お水飲んで。水分取ったほうがいい」
「ありがとう」

 彩子は素直にグラスを受け取るとゆっくりとその水を体内へ流し込んでいった。自分では気づかなかったがかなり喉が渇いていたらしい。彩子はグラスの水をすべて飲み干した。


 洋輔は彩子の手からグラスを取り上げるとサイドチェストの上へと置いた。

「彩子、寒くない?」

 洋輔はそう言いながらずっと彩子の髪を梳いている。いつもとは違う甘い空気が漂って、彩子は少し恥ずかしかった。

「うん。暖房ついてるから大丈夫」
「そっか。今日、早出するって言ってたけど、何時に出る?」

 洋輔のその言葉にそういえば昨夜はそんな言い訳をしたんだなと思いだす。特に早出しなければならない理由はないし、何よりこの身体ではしんどいなと彩子は思った。

「あー、急ぎで何かあるわけじゃないし、また別で時間取ろうかな。今日はゆっくり出社するよ」
「ごめん、俺のせいで……」

 謝る洋輔に彩子のほうが申し訳なくなってくる。

「気にしないでよ。私の運動不足が原因なところもあるし……今度何か運動付きあって?」
「うん。それはもちろん」
「ありがとう。そういえば一緒にスポーツはしたことないよね。ちょっと楽しみ」
「そうだね。俺も楽しみだよ」

 いつもの明るい空気が流れてきて彩子はほっとした。
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