束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
第六章 壊れかけの心
1. 別れ
洋輔がイギリスに出向するという話は、彩子がそれを聞かされてからそう時を置かずして、部署全体にも通達された。
どうやら引継ぎ作業も今回の出向が理由だったようで、必要なメンバーは事前に知らされていた。
出向の話自体はきっともっと前に決まっていたに違いない。
それなのに洋輔は彩子にはギリギリまで黙っていた。
彩子は、どうしてもっと早く言ってくれなかったのだと洋輔を責めたくなった。辞令の関係などですぐに言えなかったのだとしても、恋人にはもう少し早く言って然るべきなのではないかと思った。
取るに足らない人間だと言われたようで悲しかった。
あんなにも濃密な時間を二人で過ごしたはずなのに、それはすべて絵空事にすぎなかったのだろうか。
彩子はその胸にぽっかりと大きな穴が開いてしまったようだった。
どうやら引継ぎ作業も今回の出向が理由だったようで、必要なメンバーは事前に知らされていた。
出向の話自体はきっともっと前に決まっていたに違いない。
それなのに洋輔は彩子にはギリギリまで黙っていた。
彩子は、どうしてもっと早く言ってくれなかったのだと洋輔を責めたくなった。辞令の関係などですぐに言えなかったのだとしても、恋人にはもう少し早く言って然るべきなのではないかと思った。
取るに足らない人間だと言われたようで悲しかった。
あんなにも濃密な時間を二人で過ごしたはずなのに、それはすべて絵空事にすぎなかったのだろうか。
彩子はその胸にぽっかりと大きな穴が開いてしまったようだった。