束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「……うん、わかった……」
「彩子、週末時間取れる?」
「うん」
「今、彩子ん家に弟いるんだよね?」
「うん、いるけど」
「じゃあ、週末会わせてくれない?」

 これはずっと考えていたことだ。

 二人の未来を手に入れるために、家族に会って外堀を埋めてしまいたかった。

 彩子と離れる選択肢なんて洋輔にはない。だったら、繋ぎとめるためにできる最大限のことをしようと思った。

「え!? 弟に会うの?」
「うん。だめ?」
「いや……うーん……」
「大事な彩子の家族に会いたい」
「っ……わかった。でもバイトかもしれないし、あとで予定聞いてみるね」
「うん。ありがとう、彩子」

 やはり彩子は断らなかった。

 彩子が押しに弱いことはわかっていたから、押せば必ず承諾すると思った。

 親ではなくて弟というのもよかったのだろう。会わせるハードルはずっと低かったはずだ。




 彩子からはその日のうちに連絡がきた。すぐに確認してくれたらしい。彩子の弟に会うのは次の日曜日と決まった。

 事前に弟の好物も聞いて、手土産も準備した。あとは実際に会って、自分を売り込むばかりだ。
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