束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 明るい電気の下で彩子を見てみれば、顔色は随分よくなっているようだった。今は洋輔が買ってきたゼリーをおいしそうに食べている。

「顔色よくなってよかった」
「うん……心配かけてごめん」
「ううん。彩子が元気ならそれでいい」
「うん……ありがとう」
「彩子」
「ん?」

 好きだと言いそうになって、洋輔は慌ててその言葉を飲み込んだ。

 今、それを言えば傷つけてしまう。全部を伝えたあとでなければならない。

「お風呂もらっていい?」
「うん、いいよ」


 洋輔はシャワーを浴びながら、精神統一を図った。今夜すべてを伝えるつもりだ。

 それをしたとき、彩子と自分がどうなるのかわからない。正直こわいとも思う。

 だがここを乗り越えなければ二人の未来はないのだ。

 洋輔は気合を入れるように大きく息を吐きだした。
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