束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
「俺と大隆と小谷は大学のサークルが一緒だったんだけど、俺はそのころから小谷のことが好きだった。でも、小谷は大隆と付きあいはじめたから告白はできなかった。そのうち忘れられると思ったけど、それができなくてつらかった。想いを消したくて、他の人と付きあってもみたけどだめだった。いつも続かなかった。それは彩子も知ってるよね?」

 そんなふうに問えば、彩子は小さく頷いた。

「そんなだったからさ、彩子に付きあうかって言われたときはこわかった。彩子のことは友人として本当に大事に思ってたから、壊れる関係になるのは嫌だったんだよ。でも……彩子は俺の斜め上をいってて、気づいたら同意してた」

 そのときのことを思いだして、思わず笑いがこぼれた。彩子も微かに笑んでいる。涙も少し引いているようだ。
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