束の間を超えて ~片想いする同僚兼友人に、片想いをした~ 【番外編追加済】
 お店を出たあと、洋輔はこのあと家に来ないかと誘ってきた。

 クリスマスを一緒に過ごしたいと言ってくれているのだ。嬉しくないわけがない。

 だがどうしても彩子はあのときのことが気になって素直に頷けなかった。彩子の中でどうしようもない不安や不満がくすぶっていた。
 
 特別な日だからこそ、そんな胸の内を晒してしまいそうでこわかったのだ。


 結局、洋輔が彩子を自宅まで送ってくれ、そこで解散となった。
 
 きっと彩子が一人になりたがっているのを察したのだろう。彩子の家に上がることもしなかった。淋しそうな顔をする洋輔に罪悪感が湧いたが、その日はどうしてもそれ以上一緒にいられなかった。


 彩子は、今日は許してほしい、次の日にはまた笑顔に戻るからと、そう心の中で誓った。
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