孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
 CSR活動って、たしか会社が取り組む社会貢献活動のことだ。ホダカ・ホールディングスは食品関連のグループ企業が多いし、最近は全国五十店舗を展開する飲食チェーンを買収して壱弥さん自ら全国視察に行っていた。その店舗を利用して子ども食堂をやるということだろうか。

 座っていた席からだと死角になっていて気付かなかったけれど、案内された個室ドアの脇には『子ども食堂』と手書きの模造紙が貼られていた。

 陰からのぞいた室内は意外と広さがある。四脚あるテーブル席に十人前後の子どもたちが座り、おしゃべりしながら楽しそうに食事をしていた。

 お茶や水は自分たちで注ぐスタイルらしく、居酒屋の店員が巻いていた腰エプロンとは違うエプロンを着けた女性スタッフが子どもの配膳を手伝っている。

「井沢さん、こちら見学の方です」

 案内してくれた店員が女性スタッフに呼びかけた。小さく会釈をして持ち場に戻っていく彼女の代わりに井沢さんと呼ばれた四〇代くらいの女性が人の好い笑顔を浮かべて頭を下げた。

「ボランティアの井沢です。どうぞ中へ」

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