孤高のエリート社長は契約花嫁への愛が溢れて止まらない
一晩中抱き合った後、気絶するように眠りに落ちた翌朝。覚醒寸前の浅いまどろみの中にいると、ふいに唇になにかが触れた。
「おはよう」
目の前に壱弥さんの顔を見つけ、一気に目が覚める。
「お、おはよ、ございます」
起き抜けにいきなり整った顔と目を合わすのは心臓に悪い。たとえるなら暗闇に閉じ込められた直後に太陽を見せられたような、強すぎる刺激に目が眩む。
「ま、眩しいです」
顔を逸らすと「どういう意味だ」と顎を掴まれ振り向かされた。
至近距離で見つめられ心臓が騒ぐ。
「見ないでください」
顔も洗ってないし、髪もぐちゃぐちゃだし、起床直後の姿なんて見せられたものじゃない。
手で顔を隠そうとすると両手を掴まれてしまった。身動きが取れないまま唇が合わさる。固まる私を見下ろし、壱弥さんはいたずらっぽく口角を上げた。
「なにを今さら」
たしかに、これまで毎日同じベッドで寝て、寝起きの姿も晒してきた。間抜けな寝顔だって見られている。
「それでも、恥ずかしいんです」
視線から逃れるようにうつむくとまたキスをされた。
「ちょ、壱弥さ、ん」
唇から耳をなぞられ、くすぐったさに体をひねる。