フォーチュンクッキー
Step7 ビタークリスマス
・弱虫の涙
気を許すと、あたしの頬はぐっしょり濡れてしまう。
だから、最近ほっぺたが筋肉痛だ。
何が悲しくて何が嬉しいのか……。
時々、わからない。
「未来?」
呼ばれてふと我に返る。
目の前には、心配げに見つめる杏ちゃん。
隣にいる雛太はもくもくとお弁当をかきこんでいたけど、多分聞き耳をたてているのだろう。
「ごめん、ちょっとぼーっとしちゃって…」
クセの強い前髪を耳にかけて、思い出したように指に力をいれて箸を動かす。
それでもお弁当箱に収まる卵焼きが、うまくつかめなかった。
「未来、顔色よくないよ?」
覗きこんできた杏ちゃんだけど、誤魔化すように俯いてしまった。
できるだけいつもどおりに返事だけはした。
「ほんとに大丈夫だって!」
「でも……っ!」
笑ってみせたあたしに、杏ちゃんは引き下がらなかった。
なんていっていいのかわからない。
昼休みの教室は賑やかだけど、この一角だけはやけにシンと静まり返っていた。
そんな雰囲気を壊すかのように、ガタンと大きな音を立てて席を立ったのは雛太。
「………ごちそうさま」
一人呟いて、席をたって教室を出てしまった。
だから、最近ほっぺたが筋肉痛だ。
何が悲しくて何が嬉しいのか……。
時々、わからない。
「未来?」
呼ばれてふと我に返る。
目の前には、心配げに見つめる杏ちゃん。
隣にいる雛太はもくもくとお弁当をかきこんでいたけど、多分聞き耳をたてているのだろう。
「ごめん、ちょっとぼーっとしちゃって…」
クセの強い前髪を耳にかけて、思い出したように指に力をいれて箸を動かす。
それでもお弁当箱に収まる卵焼きが、うまくつかめなかった。
「未来、顔色よくないよ?」
覗きこんできた杏ちゃんだけど、誤魔化すように俯いてしまった。
できるだけいつもどおりに返事だけはした。
「ほんとに大丈夫だって!」
「でも……っ!」
笑ってみせたあたしに、杏ちゃんは引き下がらなかった。
なんていっていいのかわからない。
昼休みの教室は賑やかだけど、この一角だけはやけにシンと静まり返っていた。
そんな雰囲気を壊すかのように、ガタンと大きな音を立てて席を立ったのは雛太。
「………ごちそうさま」
一人呟いて、席をたって教室を出てしまった。