フォーチュンクッキー
Step3 苦すぎる恋
・紫陽花
ガヤガヤともう外は暗いのに、今日だけは活気があふれるこの商店街。
いつもは結ってる二つの髪もなんとなくおろした。
並ぶお店のウィンドウに映る自分をみて、肩より伸びた髪をさっと手直しした。
毛先がクセでくるくるしてしまってあまり好きじゃなかった。
けど、あの大きな手で少しでも触れられるこの髪は、今ではちょっとだけ感謝してる。
夏に向かい始めるこの季節は、昼間は暑くって半袖でも夜はほんのり涼しい。
薄着なことに後悔し始めた。
駆け込むように待ち合わせの喫茶店に入ると、入れ替わるようにマスターが出て行った。
「もう来ると思うから」
商店街の少し外れにあるここは、辛うじて一部らしい。
マスターはダンボールひとつを抱えて、どこかのお店を手伝うそうだ。
何をするかは教えてくれなかったけど、見つける楽しみも増えてあたしはウキウキしてた。
あたしは一人残った店内をゆっくり眺めた。
広くもないこの空間は、とっても落ち着く。
言いたくても言えないようなことが、ここにくるとちっぽけな気がしてくる。
頬杖をついて、あたしはただ太一さんを待つ。
遠くから規則正しい足音が聞こえてきた。
次第に近くなるそれは、きっと太一さんだ。
「悪い、待たせたな」
扉のベルが鳴るのに振り向いて、その人影を確認した。
いつもは結ってる二つの髪もなんとなくおろした。
並ぶお店のウィンドウに映る自分をみて、肩より伸びた髪をさっと手直しした。
毛先がクセでくるくるしてしまってあまり好きじゃなかった。
けど、あの大きな手で少しでも触れられるこの髪は、今ではちょっとだけ感謝してる。
夏に向かい始めるこの季節は、昼間は暑くって半袖でも夜はほんのり涼しい。
薄着なことに後悔し始めた。
駆け込むように待ち合わせの喫茶店に入ると、入れ替わるようにマスターが出て行った。
「もう来ると思うから」
商店街の少し外れにあるここは、辛うじて一部らしい。
マスターはダンボールひとつを抱えて、どこかのお店を手伝うそうだ。
何をするかは教えてくれなかったけど、見つける楽しみも増えてあたしはウキウキしてた。
あたしは一人残った店内をゆっくり眺めた。
広くもないこの空間は、とっても落ち着く。
言いたくても言えないようなことが、ここにくるとちっぽけな気がしてくる。
頬杖をついて、あたしはただ太一さんを待つ。
遠くから規則正しい足音が聞こえてきた。
次第に近くなるそれは、きっと太一さんだ。
「悪い、待たせたな」
扉のベルが鳴るのに振り向いて、その人影を確認した。