【短】みやまの花嫁
箱の奥に座っている男の人に、永悟は銀色のお金を2枚渡した。
男の人から渡されたのは、軽いお椀と、和紙が張られた輪っかに取っ手がついたもの。
手鏡みたいな形……。
「いいか、弥世。スーパーボールすくいは戦いだ。やみくもにやってもすぐ負ける」
「……戦い」
「そうだ。おれが知ってる全てのコツを教える。だから弥世もいっしょに戦うんだ。目指すは10個!」
「……うん」
永悟はぐっと拳を握って、めらめらと闘志を燃やした。
箱の前にしゃがみ込んだ永悟を見て、わたしも左側にしゃがみ込むと、ラムネの瓶を地面に置く。
「おれの真似をするんだぞ。まず最初は、ポイをぬらすんだ」
「ぽい……」
この手鏡みたいな形のものが、ポイ。
永悟が小さな球を避けて、ポイを水に潜らせるのを見て、わたしも真似をする。