【完結】婚約破棄が破滅への始まりだった~私の本当の幸せって何ですか?~
「だって、あなたは剣の道を究めたいでしょう? それにあなたにも好きな人の一人や二人くらい……っ!!」

 そう言っている途中で視界がぐらりと揺らぐほどの衝撃が私に襲い掛かる。
 彼に抱きしめられている──
 そんな風に気づいたのは、彼の腕が私の首を優しく包み込んでいるのを感じたからだ。

「なんで……?」
「俺はあなたのことがずっと好きでした。それなのに、いつ気づいてくれるんですか?」
「え? ……え?」

 私は理解ができずに思考が停止してしまう。

「俺はあなたの傍にいたい、国王の座が欲しいからとかそんなんじゃなく。ただ、あなたと一緒に生きたいんです」
「リオネル様……」
「俺と結婚してくれませんか?」

 そんな風に耳元で言われた私の頬を涙が流れていく。

 こんなに思ってもらえて、私は、私は幸せだ。

 私は今まで国の為にと生きてきた。
 王女として国のことを第一に考えるようにして、それが私の生きる運命だと、使命だと思ってきた。

 『幸せになりたい』

 そんな気持ちが身体の底から湧き出てきて、どうしようもなく彼の事が好きでたまらず私は彼を抱きしめ返す。

< 47 / 48 >

この作品をシェア

pagetop