認められない愛を
 ギシギシと鳴るベットの上で好きな人と乱れ合う時間がとても好きだ。激しく私を求めてくれることが嬉しくて幸せを感じる。彼の手が私の頬に触れる。次に唇が重なり、舌が絡み合う。その唇が胸に、頬を触れていた手も胸を掴み腹をなぞる。彼の手が私に触れ、彼の体温が私に伝わる。そして何より彼が私の中で気持ち良さそうにしている。それが、それだけが凄く嬉しい。
 行為が終わると彼はいつも温かい飲み物を出してくれる。私の体を心配しながら布団を掛けてくれる。
 だけど、私は彼の彼女ではない。
「大丈夫なの?」
「何がー?」
「明日、彼女と会うんでしょ?それなのに私とヤってバレない?」
「彼女とはしないよ。僕は彼女に興奮しないし、彼女も僕とは純粋な関係を望んでる。」
「あっそ。」
 そう、私は彼に片想いをしているだけの、ただのセフレなのだ。
 喜んでいいのか分からない発言に心臓が揺れている。
「それ付き合ってる意味あるの?」
「性行為だけが恋愛じゃないよ。」
「そうだけど。ちゃんと彼女のこと好きなの?」
私がそう問うのは何回目だろ。何度聞いても彼の答えは変わらない。
「好きだよ。」
「愛してる?」
「愛してる。」
そう真剣に答える顔を私は好きなのだ。
 彼が好きな人が出来たと教えてくれた顔も真面目で凄く目を惹かれた。彼に彼女が出来た時はもう関わらなくなるものだと思ってた。だけど、数ヶ月経っても浮いた話の一つもなかった。彼女に欲情しない、と相談を受けたのはそれから数日後。彼の部屋で話を聞いたのが間違いだった。
 その日私と彼はセフレとなった。
「そんなに心配してくれなくても、ちゃんとキスはしてるよ。」
そうヘラリと笑う彼に無性に腹が立った。聞きたくなかった。
 私は手に持っていたマグカップを置くと、彼の体に這うように跨った。彼は察したように私の頬に手を添えると顔を近づけてきた。私は彼の唇を軽く噛んだ。 
 そしてまた、体を重ねた。
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