ワインとチーズとバレエと教授


理緒が予約外来時刻を1時間経過しても、精神科にやってこなかった。内科で問題でもあったのか?
誠一郎がそう思っている頃、内科から内線が入った。

「内科の山本です、Y病院から紹介された津川理緒さんが、こちらに本日初診でいらっしゃいました。
外来の問診票を見ますと、こちらの精神科にも受診していることが分かりましたが、藤崎先生の患者様で間違いないでしょうか?」

山本医師は、少し焦ったように早口で確認をしてきた。

「ええ、間違いありません。本日、外来予約をしているのですが、津川さんが、内科を受診されていることはパソコンで確認が取れてますが、外来予約の1時間経してもいらっしゃらないので内科で問題でも起こっているのかと…」

誠一郎も山本医師に確認を取りたかった。

「えぇ、かなり問題が…Y病院からの紹介状ですと
津川理緒さんが難病の慢性疲労症候群を発症し、Y病院でなく、こちらの大学病院での治療を強く勧めるとご連絡を受けておりますが、津川さんご自身は
慢性疲労症候群とご存知なかったようで…」

「慢性疲労症候群…?」

誠一郎は聞き返した。
なら、バレエどころではないはず…

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