ワインとチーズとバレエと教授
久しぶりに来る理緒の部屋は、前と違ってとても
整理整頓されていた。

そして物がなくなり、さらに質素な部屋になっていた。

バレエのトーシューズは全て箱にしまわれ、部屋は閑散としている。

台所で理緒が

「 コーヒーでしょ?」

と聞くので亮二が

「うん」」

と答えた。

二人に静かな沈黙が流れる。

亮二は理緒に聞きたいことや、説明しなければならないことがたくさんあった。

理緒と合っていなかった数ヶ月で、事態は思ってもみない方向へ進んでいた。

ただ理緒が少なからず落ち着き、元気を取り戻しているのであれば、それだけで安心だった。

少なくても包丁を振り回す理緒はもういない。

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