ワインとチーズとバレエと教授


泣き止んだ理緒は、更衣室へ行き、
身支度を整え、スタジオから出てきた。
そして、亮二と鉢合わせした。

「亮二さん、なんでこに?」

「あぁ、理緒がトゥシューズに
なったって言うから、
さぞ美しい踊りをしているのかな、
なんて思って…」

と一生懸命取り繕ってみせた。

「酷い踊りでしょ…」

理緒は笑いながら言った。

「いや、そんなことないよ、ただ…
…すごく厳し先生なんだね」

亮二は気を遣いながら言った。

「先生がもう来なくていいと…」

「え?」

「次からは、こちらのスタジオへ行くように
言われました」

セントラルバレエスタジオー

その紙を見せられた。
大勢の美しい衣装を着たバレリーナが
舞台の上で踊っている写真が添えられていた。

理緒のバレエのステージが
上がったことを亮二は確信した。

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