君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
ともすれば冷淡にも見える聡一朗さんの表情には、なにか見えないヴェールのようなものが貼り付いているようだと。
そしてそのヴェールは聡一朗さんだけが抱えている、なにかなんだろうな、とも。

きっとそれは触れてはいけない部分。
私ごときなら、なおさら。

でも、ただ残念に思う。
聡一朗さんの笑顔は、きっとすごく素敵だと思うから。

と、聡一朗さんを見つめていたら、その背中越しに女性が歩いて来るのが見えた。

私を見据えているその視線に、思わずドキと緊張を覚える。

もしかして、睨まれている……?

胸が大きく空いたブラウスに長い脚が映えるぴったりとしたパンツを履いていて、綺麗にカールされた長い髪が似合う美女だった。

それだけに鋭い視線には迫力があって、私は思わず聡一朗さんとの会話をやめて視線を泳がせた。
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