君という鍵を得て、世界はふたたび色づきはじめる〜冷淡なエリート教授は契約妻への熱愛を抑えられない〜
1,図書館での出会い



同い歳ぐらいの若者が行き交う大学キャンパス。

お洒落なファッションに身を包み、活き活きとした笑顔で歩く学生たちに道を譲りつつ、私は掃除道具を両手に足早に歩く。

「よっし次は階段ね」

時限の合間は通行人が多くて拭きにくいから、講義に入った直後が始め時だ。

最上階から一階まで、この時限内に一気に拭き終わらせたら、次は図書館。
私が一番好きな場所だ。

午前の早い時間の今は、図書館もまだ人がまばらだった。

大量の本や図表や写真集やらが整然と本棚に収められ、圧巻の眺めを見せてくれている。

息が詰まる、と言う人もいるけれど、わくわくさせてくれる知識の宝庫とも言えるこの場所が、私は大好きで、小さい頃から、図書館に通うのが日課だった。

そして成長してからは、この大学の図書館に通うのを夢見ていた。
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