狂い咲きの蝶
後ろから急に黒い影がせまってきて、まず、そのうちの一人が乱暴にが晴を抱き上げた。

「やめて!!」

私がそう叫びおわる前に私の足がふっと地面から離れ、脇を抱え上げられてしまった。


「離して!!離して!!」

しかし横目で犯人を見た瞬間、私はもう何も言えなくなっていた。

凍りついた目。底のない沼をたたえたような雰囲気と、それに反するような笑みを浮かべる口元。


一瞬黙った私の口を、粘着テープがまとわりつき、そのまま私の意識はなくなった。


次に覚えているところは、ひんやりとした廃屋らしい場所。
牢獄を連想させるような場所だった。

隣で晴がやかましく泣いている。
そんな晴を、男の一人がふざけ半分にあやしていた。



そこまではよかった。
< 27 / 81 >

この作品をシェア

pagetop