わたしたちが死にたかった夜にも、きっと意味はあったんだ───。
わたしの呟きを見た蛍さんの目が大きく見開かれる。その事実に驚愕し、切なそうな、悲しそうな瞳で見つめられるのが何だか怖かった。
蛍さんに、わたしは“可哀想な弱い子”として扱われるのが、どうしようもなく嫌だった。
だからわたしは平気なふりをして、蛍さんに声をかけた。
「ほ、蛍さん……!あそにあるベンチに座って話しませんか!…えっと、あの、…ずっと経って話すのも何だと思い、……」
蛍さんがわたしを真っ直ぐに射抜く目を変えてくれなくて、自然と自分の言っていることに自信をなくしてしまう。
「はは、最後自信無くなってるじゃん」
蛍さんはそんな慌て気味なわたしに、本当に楽しそうな笑みを返してくれる。蛍さんのその楽しそうな表情に、ほっと一安心したのはここだけの秘密だ。
わたしと蛍さんは、隣に並び合うような形で座り、少しだけ体の向きをお互いへと向けた。そしてわたしは伝えたい言葉の続きを、ただひたすらに画面に打っていく。
本当はこんなもどかしいことなんかせずに、口で伝えた方が簡単だし、何より受け取ってもらいやすいと思う。
……だけど、わたしは自分の気持ちを自分の口から言うことはまだ出来ないから。
こうして文字を打っていると言うだけで、信じられないくらい震えるほどの喜びが体中を満たすのだ。