わたしたちが死にたかった夜にも、きっと意味はあったんだ───。


 『あの表示がもし本当なら、あれを試すしかない』と。

 死者を生き返らせる条件は二つ。

 一つは、自分の半分の命と代償にすること。死者は生き返っても他人の目には視えないが、死者を生き返らせた人間の側にいる時だけ、ようやくその姿が他人にも視えるようになる。

 そしてもう一つは、十万人以上の人間から、“どうか、まだこの世界で生きてほしい”とツイートしてもらうことだった。

 俺はそれをすべて達成し、ようやく死んでしまった柚葉を生き返らせることに成功したというわけだ。

 ……今思えば、この選択が本当に正しかったのかどうかは、分からない。けれど、こうしてまた柚葉の笑顔が見れたのだから、それで良かったとも思った。


***


「そんなことが、あったんですね……」


 今までずっと、蛍さんがなぜわたしの名前を知っていたのかということに関して、わざと目を背けて考えないようにしてきた。

 お母さんやお父さんが昔わたしのことを愛してくれていたという事実と、わたしはどこかで蛍さんのことを救えていたのだという事実に、胸がいっぱいになった。


「蛍さんの半分の命は、どこに行ってしまったんですか……?」


 怖くて、ずっと聞けていなかった質問。だけど、過去のお話を聞いてからは、少しだけ勇気が湧いたんだ。それに、多分これはわたしが知っていなければならないことなのだろうと、思っていた。

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