交際0日ですが、鴛鴦の契りを結びます ~クールな旦那様と愛妻契約~
六、愛妻契約の結末



白を基調とした清潔感のある部屋で、消毒の匂いの中央、ベッドで眠る愛おしい人の頬に触れる。

穏やかな呼吸で眠っているだけだと分かっていても、あんなことがあった後だから不安で仕方なかった。

強く殴られた腹部は痣がくっきりと残ってしまっていて痛々しい。内蔵に異常はなかったものの、痛かっただろうなと胸が張り裂けそうになる。

知らない男に体を拘束され、丸山麗奈に睡眠薬を吸わされた一織さんを見つけた時、混乱と怒りと悲しみとでおかしくなりそうだった。

男がホテルの警備員に確保され、力なく横たわる一織さんの虚ろな目は私を捉えてくれなくて、死んでしまうんじゃないかと怖くて堪らなかった。
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