冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました

第37話 LOSKAを守る

——— 社長は真嶋 茉白。それ以外は認めない。

「わたしが…しゃちょう…?」
遙斗は頷いた。

「む、無理ですそんな!急に社長なんて…」
茉白は驚いて、また首を横に振った。

「いつかは継ぐつもりだったんなら、覚悟はできてるはずだ。いつかが今になっただけだろ?」

「…で、でも…」


「LOSKAは茉白が自分で守れ。」


遙斗が茉白の瞳を見て言った。

「……私が…自分で…?」

「何度も言ってるけど、一人で抱え込む必要なんてない。俺も米良もサポートするし、シャルドンは茉白を一人前の社長にする教育だって受けさせてやれる。」

「茉白さんなら大丈夫ですよ。」

「だってまだ28…」

「20代の社長なんて珍しくもない。」

「…それに…父だって…」
茉白は父から会社を取り上げるような罪悪感を感じた。

「茉白のお父さんも賛成してるよ。」

「え…あ、そういえばさっき…父に会ったみたいなこと…」

「先程まで別室でお話しさせていただいてました。」

「え!?」

「Amselの話と、買収の話と、茉白を社長にするって話。」

「父は…私に継がせる気は無いんじゃないですか…?」
茉白は恐る恐る聞いた。

「父親だからな。経営の大変さを知ってるから、茉白にはもっとラクに暮らして欲しかったみたいだよ。」

「………」

「…だから俺と米良からは茉白と初めて商談した日から今までのことを話した。どれだけLOSKAを想ってて、どれだけ優秀な企画営業か。」

「………」

「影沼のことも、茉白に会社を継がせずに茉白にラクをさせてやりたいって親心だったらしい。俺からしたらぶん殴りたいくらい余計なことだったけどな。」
遙斗は苦笑いで言った。

「縞太郎さんは、茉白が継ぎたくて継ぐなら協力は惜しまないって言ってたよ。」

気づくと茉白の目からまた涙が溢れていた。
親心に触れたからなのか、張り詰めていたものが解かれたからなのか、はっきりとはわからない。

「だから茉白が社長になってLOSKAを引っ張って、守っていけばいい。まずは失いかけた信頼を取り戻すところからな。」

茉白は涙を拭いながら頷いた。

「…はい…がんばります…」
< 131 / 136 >

この作品をシェア

pagetop