仕事のあと、私たちは。

彼の名前は松田陽太。
違う部署にいながら、色々と相談に乗ってくれる信頼のおける上司である。
ふわっと物腰柔らかく優しい雰囲気からか、私はなんでも彼に相談してしまう。


最初はただ仕事の相談をしに行く程度だった。
手を止めて親身になって話を聞いてくれる彼に、徐々に心を開いていくようになった。

いつしか愚痴を聞いてもらうようになり、ついにはプライベートな話までするようになっていた。

彼は話を聞くのがとても上手く、気づけば数時間と話し込んでいる時もあった。

こんなに話をしているのに、彼はあまり自分のことを話さなかった。


だから、私が知っている情報はとても少なかった。
彼が結婚をしていることと、男の子のお子さんがいることくらい。
それ以外は彼の年齢すらはっきりと知らなかった。
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