天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)

魔女のお買い物

<魔女のお買い物>
グルシアは、マンションの402号室の鍵を開けた。

鼻をくすぐる・・ああ・・
この匂いは・・甘く香ばしい

着ぐるみの魔女が皿を片手に、
リビングの扉を少し開けて、ぴょんと顔をのぞかした。

「ただいま・・何をしていたんだ?」

グルシアは、鍵を下足箱の上に置いた。

「ホットケーキってやつを作った。動画で出ていたから」

魔女は何か思い出すように
目を天井に泳がせて、自信なさげな感じで頭を下げた。

「おかえりなさいませ」

グルシアは、少し笑ってしまった。

ぎこちない魔女のしぐさは、本当に子どもっぽい。

「それで、材料はどうした?」

「ネットスーパーで、頼んだらすぐに持ってきてくれたぞ」

「他の買い物もしたのか?」

グルシアはネクタイをゆるめ、
上着を脱いだ。

「うん、最速で頼んだら、さっき届いた」

魔女は、リビングの片隅に置いてある小さめの段ボール、数個を指さした。

「コーヒー、入れたけど、飲むか?」

魔女はコーヒーメーカーから、
コーヒーを注いだ。

「キリマンジェロがいいと思って。一緒に頼んだ」

「ああ、ありがとう。いい香りだ」

「オットが帰ってきたら、お茶かコーヒーを出すのが、ヨメの仕事?
ドラマで見たぞ」

魔女は一日中、ネットやテレビで学習したのだろう。

リビングのテーブルの上には、
淡いクリーム色の薔薇とかすみ草が飾られている。

「これは・・どうした?」
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