天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
毎朝、ベランダに、小鳥たちが
来るようになった。

「えさをあげると、来るのだ。
ネットに出ていた」

魔女はそういいながら、パン屑をやりにベランダに出ていった。

グルシアは、苦笑して聞いた。

「お前の使い魔か?」

「はぁーー、あんなちっちぇーー奴なんか、使わねーし」

魔女はパン屑を置くと、小鳥たちを驚かさないように、静かにガラス戸を閉めた。

小鳥はつがいらしく、交互にパン屑をついばんでいる。

魔女は、ずっとその様子を見ていた。

サリエルは、目の前の百合の花を見て言った。

「僕は、魔女って美しい生き物だと思うがね」

美しいというより、愛らしいのではないか・・

ネコ舌らしく、コーヒーをマグカップで、ちびちびで飲んでいる
魔女を見て、そう思う時がある。

「グルシア、サンドラちゃんは
君の好きな物を・・ちゃんと考えているね。
いじらしいじゃないか」

サリエルはため息をつき、続けた。

「そして封印されることを・・
覚悟している・・」

「封印が決定されれば、俺の仕事も終わる」

グルシアは、アタッシュケースを手に立ち上がった。

「そう、そうだけどね。それでいいの?」
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