イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
 
 茜は俺になにも言わない。目も合わせない。不自然極まりない。

 茜との関係を知る部長はニヤリと笑っていた。とにかく、茜が怒ってるのはなんとなくわかった。

 これは帰ったらえらいことになりそうだ。茜は怒ると面倒くさい。だがまあ、想定内だ。

 お互い知り合いだということを伏せたのは茜のためでもある。茜はこの会社でも爺さんの孫だということを内緒にしている。

 だから、俺のことも幼馴染みだということを言うと嫌がるだろうと考えて黙っていたのだ。

 蓮見商事を出て、事務所へ戻った。仕事に思ったよりも時間がかかり急いで帰る。何しろあれからメール、電話も全て茜に無視されて、俺は焦った。

 久しぶりに茜が全力で怒ってる。まあ、異動もしたくなかったんだろうな。今日の様子からそれがうかがえた。
 
 
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