イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
 
 「早見さん、この間の旅費の精算マニュアルどこに入っているって言ってましたっけ?」

 小暮さんが私の方を見ながらパソコンから頭を出して聞いている。

 「えっとねえ。最近のやつはマニュアルⅢの中にあるよ。資料集から入るとみられる」

 「わかりました」

 上の方のアイコンにメール受信案内が出た。開いて見ると海斗。早すぎる。

 『今日は訴訟関連があって遅くなるから飯はいい。電話の資料は送ってくれ。明後日までに目を通したい』

 何なの、このメール。携帯のいつものメールじゃあるまいし、他の人に見られたらどうすんのよ。削除しようとして、返信することを思い出した。とりあえず、受信トレイに戻して資料を探しに行く。

 「高梨君」

 「なんだ」

 「去年まで三年分の総会の問答集ってどこにあるの?」

 パソコンを見ていた彼は頭を上げて私を見た。

 「何に使うんだ?」

 「え?あ、かい、違う、新藤弁護士からメールが来てね。明後日までに目を通したいからメールに添付して送って欲しいって言われて……」

 「……ふーん。俺が送っておくよ」

 「え?」
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