不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
聞こえてくる
「最近勉強はどうだ?」


夕飯の時間、テーブルについた途端そう聞いてきたのはさっき帰ってきたばかりの父親だった。
スーツの上だけ脱いで、シャツとスーツのズボンという格好で座っている。
私はテーブルの上に並んでいるサラダとスープとオムライスへ視線を落としたまま「してるよ」と、答えた。


「勉強するのは当たり前だ。ちゃんとわかってやってるのか?」


私の返事の仕方がダメだったのか、父親の声が低く険しくなる。
視線を向けるとげ実際に目が吊り上がっていた。
これくらいのことでどうして起こるんだろう。

万年平社員のくせに、どうして娘には学力を求めるんだろう。
蛙の子は蛙。
そのことわざを、きっと父親は知らずに生きている。


「今は女の子でも勉強できる方がいいに決まってるんだぞ。大学には絶対に行くんだ。いいな?」


うるせぇな。
自分は高卒のくせによ!
口から出かかった言葉をスープで流し込む。
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