不良な君に赤薔薇を


「ねぇー、結構歩いたんだけど、、、どこ向かってんのよこれは」


変に蒸し暑く、歩く度に汗が首をつたう。


「もう少しだよ、おばさん」


「は?そっちだって疲れてるくせに、おじさん」


「俺はー、おばさんみたいには疲れてねぇよ!」


くだらない会話を交わしつつ、縦並びに歩いている。


かなり疲れがピークにたっしたので、一旦休憩を入れてもらうために後ろから服の袖を引っ張った。


「ね、ねぇ一旦休憩いれない?」


「な、んだよ。上目遣いなんかすんな、、、、かわいいな、、、、」


最後、なんて言ったのか全く聞こえなかった。


「えーっと、その、、そこのカフェにでも寄るか!行くぞおばさんっ」


やっと休憩できる、、。
でも、
相変わらずおばさん呼びは変えてくれなかった。


「いらっしゃいませー!二名様ですか?」


「あーはい。二名で」


店員さんは、「かしこまりましたー!」と言って席を案内してくれた。
店内の内装は、今どきのピンク色に染まっていて、若者やカップルらしき人で溢れている。


案内されたのは、壁側の席だった。


「えっとー、何でこんな席?プラス料金とかじゃ、、」


明らかに、周りの席と違うところに案内された。壁には、ハートが書いてある。


「現在、カップルの方は壁側の個室に案内させて貰ってるんですよー!」


「え?何で、」


すると、店員さんが耳元で、


「イチャイチャするためですよ、お客様!」


と囁いた。


「ね、ねぇ龍。ここの店出ない、、、?」


「あ?なんでだよ。別に休憩だからいいだろ」


(休憩だからだめなんですよ!!)


心の中でそう叫びながらも、龍と店員さんの押しに負け、泣く泣く個室へと入っていった。


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