不良な君に赤薔薇を
｢はっ、やっぱり、おばさんだな｣


そう言って、無心に走っている。
信号がここら付近は無いため、スムーズに移動することが出来てた。でも、後ろから男性が迫って来ている。


｢到着ー。すいません。今人に追われて！その男性、路地裏で女性に痴漢していたんですよ。
注意したら、喧嘩になりそうだったのでここまで走って来ました。｣


礼儀正しい龍。何だか初めて見た気がした。
結果、走ってたどり着いた場所は交番でその後はすぐさま追ってきた男性を取り押さえてくれた。


｢じゃあ気をつけて帰るんだよ、今日はありがとう｣


おじちゃんがそう言って、私たち二人を見送ってくれた。



｢ねぇ、助けてくれてありがとう龍｣


｢ほんとだよ！お前みたいに突拍子もないことするやつ初めてだよ｣


｢いいすぎじゃない？悲しい｣


そう言って泣き真似をその場でした。
あまりにもリアルだったのか、立ち止まり、私の顔を覗き込んでいた。
すると、突然頭を撫でられた。


｢わりぃ、ちょっと俺もいいすぎたよ｣


｢ねぇ、私嘘泣きしてたんだけど｣


顔をばっと上げて龍を見てみると、私から嘘泣きだと聞いた瞬間顔が真っ赤になっていた。


｢何か、可愛いなぁ｣


｢もう、まじでお前置いてくわじゃあな｣


そう言って全速力で走り出した。
彼女を本気で置いて行く彼氏がどこにいるのだろうか。
もっと居たかったため、私も全速力で走った。






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