溶けない好きに、注いだ体温 (短)


「シャリ、シャリ……」


その紫色を、私はコクリと。
自分の深い所まで届くように、
静かに呑み込んだ。

それらは複雑な温度と色で私の中を通り、
優しく浸透する。

まるで、

どっちの色も大事にしていい。
無理に忘れなくていいんだよ、って。
そう言われた気がして……

無色だった心が、僅かに色づき始める。


「私の氷――やっと、溶け始めた」


カップの外側の水滴。
その雫の中に、過去の私が写っている。

雫は私の手の熱さにあてられ、
すごい勢いでカップを滑る。

そして花火が上がる音と共に、
まるで自由を手にしたように――


広大な地面へ、軽やかに落ち始めた。


【 fin 】

< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:12

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
一つの問題をきっかけに 恋のトライアングル、開幕 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ ツンデレな同級生 ▶ 一葉 勇運 (弟) 「俺のこと好きじゃなくていいから、 俺に三石を守らせて」 × とある悩みがある ▷ 三石 冬音 「好きになっても…良いですか?」 × 優しいお巡りさん ▶ 一葉 守人 (兄) 「大人をからかっちゃダメだよ」 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 複雑に交差する「好き」の矢印 その中に混じる、秘密 「俺とだから、キス嫌じゃなかったの?」 「君の手を離したくなかった」 「やっと、幸せを見つけたの」 それぞれの恋の終着点とは―― 表紙公開▶2023/09/10 完結▶2023/11/10
ゾッとする短編集

総文字数/403

ホラー・オカルト2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
身近な日常に潜むなにか―― そんなゾッとする恐怖を集めた短編集 (各話200字以内)
表紙を見る 表紙を閉じる
不登校の私の家に委員長がやって来た 「なんで学校に来ないのですか?」 「行きたくないんだもん」 「僕がいるのに?」 「……へ?」 初対面で、この発言 実はこの人、超ポジティブ人間だった 「毎日僕を見なくて何が幸せなんですか?」 「同じクラスで僕と同じ空気を吸う、 それは高級エステに通ってると同じですよ」 「僕と一緒に登校しますか? 僕の隣を歩く=あなたの価値は凄いんです」 自己肯定感の塊、それが委員長の桂木くん 最初は「変なヤツ」って思ってたけど… 「僕と手を握れるなんて、 10億の宝くじが当たるより凄いんですよ?」 「……ぷ、なにそれ」 バカな事を大まじめに言う桂木くんを 「学校で見てみたい」なんて… そんな事を思い始めた \委員長のお悩み相談室が開幕!/ 表紙公開▶2023/03/18 執筆開始▶2023/04/07

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop