キケンな生徒指導
まさかの補導
「すいません。彼女とは別れ話で揉めてるもんで、ちょっとお借りしますね」

先生は、めちゃくちゃな嘘で、爽やかな笑顔を振り撒き、私は完全に店から連れ出されてしまった。

もう、流石に言い逃れは無理だろう。

これまで、学校では強いストレスを抱えながらも、こんな高校は単なる大学への踏み台だと割り切り、優等生を演じ続けてきたのに、まさか“自分らしく居られる場所”で補導されるとは、何もかもが水の泡だ…。

「手を離して!」

「離したら逃げるだろ?」

「逃げないわよ!」

無理にでも手を振りほどこうとしたら、誰も居ない路地裏で、いつもお調子者の先生が、まさかの壁ドン。

身長差があるので、ときめくどころか、ただただ迫力があるだけ。

「サマンサ・フォックスのノーティー・ガールズ?自分のことでも歌ってたのか。学校では優等生ぶって、まさかこんな格好でバーの常連とは、いい根性してるな」
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