陽生先生のキケンな恋愛指導


 でもそっか、その予行練習を先生でするってことか……。


「言わば恋愛指導だな」

「っ、」


 なんかその響き、めっちゃドキッとする――。


「あ、でも俺に本気にはなるなよ?」

「は?」

生徒(ガキ)に手出す趣味はないんで」

「なっ……!私だって先生なんかあり得ないですよっ!」

「そう?それならいいけど」


 煙草を吹かしながら不敵に笑う先生は、どうしてこうも色気があってカッコいいんだろう……。

 あり得ないって言った側から、ものすごくドキドキしちゃってる。


「じゃ、そういうわけだからよろしくな、間宮仁胡」

「っ!」

「せいぜいかわいくアプローチしてくれよ?」

「〜っ、せ、先生の方こそ私に本気になっちゃうかもしれないですよ!?」

「ほう?やってみれば?」


 ヤバい、今のは余計なこと言ったかも。


「楽しみにしてるわ」


 まるで私を試すような、余裕たっぷりの笑みに翻弄されそうになる。
 いや、もしかしたらもう翻弄されてるのかもしれない。


『仁胡はワルい男に引っかかりそう』


 お姉様、どうやら言われた通りになってしまったかもしれません。

 多分これはオチたら危険な沼だと思う。
 それこそハマってしまったら抜け出せない底なし沼――ああ、これがワルい男なんだろうなぁと、どこか俯瞰的に考えていた。


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