炎の魔女と氷の皇帝*転生したら弟子と契約結婚をすることになりました*
何度抑えても沸き起こる怒りに目の前が朱く染まる。

「いい加減、俺の神経を逆なでするのはやめろ。今すぐ死にたいなら別だが」
「俺を殺してなんになる? 復讐したところで死者は蘇らない」

 オリバーはルシアへ視線を向けた。

「リアム、決めたか? 民か、愛する人か」
「ああ。決めた」
「どっちだ? 愛する人だろ?」
「俺は、どちらも選ぶ」

 リアムの言葉にオリバーは目を見開いた。

「……なんと、この状況でもまだ両方か。それはすごい。強突く張りで、傲慢な男になったものだな。……おまえの父親そっくりだ」
「先々帝は関係ない」
「関係あるさ。リアム、さあ、さっきの話の続きをしよう」

 オリバーはふたたびあぐらをかいで座った。

「くどい。俺は最初からあんたと話すことはない。魔鉱石を返せ。炎の鳥をとめろ!」

 ミーシャを抱えたまま、オリバーに向かって手を伸ばした。氷を放つ刹那、

「おまえが愛する者を選ぶなら、ミーシャを助けてやろう」

 攻撃体勢だったリアムは、息を呑んだ。




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