言葉選びって、大事。
 あ、ヤバっ。

 掃除当番でゴミを裏庭に捨てに来たら、一組の男女がイチャついていた。
 しかも片方は見覚えのある人。

 あーもう、運悪いなぁ。

「ん? どうしたコトハ?」

 校舎の陰に隠れてやり過ごそうとしていると、同じく掃除当番だったのかダイキがゴミを持って現れた。
 角の向こうを見て「ああー……」と苦笑いする。

「コトハの元カレね。ホントとっかえひっかえしてるよな、あの先輩」

「……」

 その通り。
 進行方向でイチャついている片方は半年前に別れた元カレだった。
 とはいえ、以前から浮名の激しい人だったし、付き合っていた半年間も浮気ばかりされていた。
 というか、付き合っていると言っても何番目の彼女、みたいなポジションだったみたいだし。
 今となってはあの先輩のどこが好きだったのかさえ覚えていない。

「……何? コトハ、まだ未練あんの?」

「はぁ?」

 ある訳ないでしょ! と口にしようとして見上げた顔は、いつになく真剣だった。
 てっきりからかい交じりなんだと思っていたのに、真っ直ぐ見下ろしてくるから言葉が出てこない。

「あんなの忘れて、俺の彼女になれよ」

「もう、またそれ? いつも言ってるけど、そんな俺様発言する男とはつき合えないって――」

「じゃあ、言い方変える!」

「へ?」
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