ワルいイケメンは、私だけに優しい


はぁ……かったりぃ。

ふと、気づく。


俺が歩く道を通してくれる……?

いや、通してくれるんじゃなくって……遠ざけてるんだ。

俺が怖いから。

人を見た目で判断しちゃいけないよな。

俺は元は怖くない。

だけど、最近目付きや言葉づかいが悪い。

だから、みんな何かされないんじゃないかとビクビクとしてる。

何もやらないさ。

揉め事、嫌いだから。


ここは、学校の廊下。


俺の名前は、水戸 練磨(みと れんま)。

ごく普通の男子高校生だ。

周りからは、〝ワルイ・イケメン〟って言われている。

柄はそんなに悪くないんだけどなぁ〜。


と、その時……

「きゃーっ!」とどこかしら悲鳴が聞こえてきた。

只事じゃないと思い、その声がした方へと向かう。


そこには、数名の男女が1人の女子生徒をイジメているでわないか。

俺は、そういうのが1番嫌いだ。


そう思った時、つい手が出てしまった。


一瞬の出来事に皆は、唖然としていた。



私の名前は、未彩。

地味な女子生徒。

勉強だけが取り柄。

それが、嫌な1部の人たちに今日もいじめられた。

それを止めてくれたのは、学校1の〝ワルイ・イケメン〟くんだった。


「おい、大丈夫か」

凄く……華麗だった。

私を助けてくれた彼。

「大丈夫か?」

見惚れてしまった……

「あ、……はい!だ、大丈夫です!」

「大丈夫じゃないだろ。怪我してる」

「あ……このくらい、なんてことな」

「来て」


私は、水戸くんに手を引かれ歩いていく。

その間に、クラスメイト達は道を開ける。



着いた場所は、保健室。

水戸くんは、私の傷を手当してくれた。


「……これで、よし」

「あ、……ありがとう……ございます」

「なんで、敬語?同じクラスなんだからタメ語でいいだろ。俺が居るからには、もう大丈夫だ」

「へ?」

「こう見えて、柄は優しい方だけど。怒ると怖いから。みんな、近づけない」

水戸くんは、優しく私の頭を撫でてくれた。

安心させるように。


私は、そんな水戸くんに恋に落ちた。

私だけに見せてくれる優しい気持ち。

みんなには、怖いけど……


それからというもの、あの騒ぎから一変し私はイジメられなくなった。

隣に水戸くんが居るから。


あの時の言葉、『俺は、お前を守る』その言葉で充分。


「ん?どうした」

ずっと、見つめていたら不思議がられた。

「いや?何も無いよ」

「心配するな。あの言葉忘れたのか?」

「忘れてないよ」

「なら、いい」


私だけに見せる優しい笑顔。

この人なら、一緒に居たいとそう思った。


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