お姫様、俺とイチャつく時間ですよ?
休み時間のこと。
「ねーえ? 北野さん」
北野さんの方を振り返ると、数人の女の子達が彼女の方へ近づいていた。
あっ、中央にいるのは、荒川 詩乃さんだ!
確か、勉強はできるし、美術や音楽の成績だっていつも上位の女の子。
でも、なんだか表情が変だなぁ。
冷ややかな笑みを浮かべて、杏ちゃんを見つめている。
「なぁに?」
「北野さんさぁ、好きな男の子とかいるの?」
「好きな男の子?」
杏ちゃんは、長いまつ毛が縁取られた両目をパチパチとした。
「うん、例えばー……今回王子役やる瀬川くんとか!」
「えー、なんで? わたし、同じクラスの男子には興味ないよ」
「そうなの?」
「うん! わたしね、恋愛とかしたいって思ったことがないんだ」
「そうだったんだ! ごめんねー、変なこと聞いて。教えてくれてありがとね!」
いかにも安堵したように、その場を去る荒川さん。
笑顔を浮かべてはいるけれど、やっぱり変だ。


