没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~


 ――今日ネル君と二人きりでお話ができなかった分、明日はたくさんお話ししてうんと甘やかすわ。
 そうと決まればネル君の大好きなクッキーを用意しなくては。
 私は早速、卵とバターを取りに地下の冷蔵室へ階段を使って下りていく。


 ――……そう言えば、ネル君は私に何かを伝えようとしていたような? だけどお客様が来て対応に負われてしまったから最後まで聞きそびれてしまったわ。……一体、何だったのかしら?
 階段を下りる足を止めてネル君が何を伝えようとしていたのか思い返す。けれど、思い出せるのは私を口説こうとする言葉ばかりで、肝心のその先が出てこない。

「……単純に早く大人になりたくて、私を揶揄っただけよね。きっとそうだわ」
 そう結論づけた私は「やっぱりネル君は可愛い」と独りごちてからふふっと笑う。
 そして再び地下へと続く階段を下りていった。

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