没落令嬢のおかしな運命~餌付けしたら溺愛されるなんて聞いてません!~


「あなたがここのお菓子を作っているんだよね? その日のおすすめのケーキを食べながらいろいろとお菓子の話が聞けたら楽しいだろうなあって思ったんだ」
 どうやら青年は純粋にお菓子について私と語りたいようだ。他意がないことに安心しつつも、自分が変に意識していたことが恥ずかしくなる。穴があったら入りたい。

「そ、そうなんですね。私なんかで良ければもちろん構いません」
「私なんかじゃない。僕はあなただからいいんだ。だから名前を聞いてもいいかな? 僕の名前はアル。王宮で働いている文官だ」
「私はシュゼットです」
「シュゼット、可愛らしい名前だ。これからよろしく」
「こちらこそよろしくお願いします、アル様」

 こうして私の生活にアル様とお茶をするという新たな日課が加わったのだった。

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