緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「サリエルってさ・・
魔界でも、緋色の翼は有名だよね」

アレクサンドラが言うと

「ええ、もちろん、アタシども
魔女には、雲の上のお方ですから」

リリカがすぐに答え、そのまま話を続けた。

「今日は、グルシア殿にも聞いていただきたい、重要なお話があってきました」

リリカは背筋を伸ばし、口をへの字に曲げている。

何かの決意なのか。

「天使会議の議題に上げていただきたい、案件があります。
長老様に、取り次ぎの手配をお願いしたいのです」

グルシアはいぶかしげに
目を細めて、リリカを見た。

「その理由(わけ)とは?」

「魔女が、ニンゲン界で
自由に行動する権利を、天界でお認めいただきたいのです」

「つまり、徴(しるし)や封印を撤廃しろというのか」

「はい、ニンゲン界での状況が、大きく変わっていますから」

リリカは息を吸い込んだ。

「魔女になりたがる子が、減少しています。
それは、サキュバスのほうが、
ニンゲン界では人気がすごくあって、関心のある子はみんな、そっちに流れているのです。」

グルシアがうなずいた。

「確かに、サキュバスの動きのほうが、よく聞くな」
< 27 / 52 >

この作品をシェア

pagetop