『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

五歳の差は埋められない。
バリバリに第一線で仕事をして来たあの人にとって、俺はまだケツの青いガキなんだろうけど。
たぶん、それだけじゃない。

「不感症って、どう思う?」
「は?……いきなり、何だよ」
「いや、何となく」
「………それが、別れた理由」
「お前、オブラートに包めねぇのかよ」
「俺にそれを求めるな」

グビっとビールを流し込む圭吾。
知的な見た目で昔から結構モテてる。
スペック的にも申し分なくて、俺が女ならこういう奴が彼氏なら結構長続きするんじゃないかと思うほど。

「昔付き合った彼女で、触られるのも苦手な子いたんだよね。手を繋ぐくらいならセーフなんだけどさ、ハグとかキスとか、それ以上なんてがっつりガードされて」
「……」
「でもさ、それって相手を意識してるか、過去にトラウマがあるとか、何かしら原因があるわけで」
「……ん」
「それは本人に確かめるしかないんだけど、ちゃんと相手の気持ちあってのことだから」
「……ん」
「お前の好きな美人上司もさ、言葉や態度に示せれないとしても、ちゃんと理由があるはずだよ」
「……ん」
「本当に何にも感じることができないとしても、それが病気みたいな疾患だとしたら、それが理由だし」
「……ん」
「お前一人で悩んでても解決しないだろ」
「……だな」
「本人が治療したいだとか、前向きな考えがあるなら寄り添ってやればいいしさ。そもそも、それすら介入して欲しくないってんなら、見守るしかできなくね?」
「……ん、そうかも」
「まぁ俺なら、我慢できるうちは我慢するけど、限界突破したんなら、強行突破するけどな」
「どういう意味?」

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