私たちの復讐法

第十話

わたしはその様子を実家のお好み焼き屋で見ていた。

「路子もえらいもんだわ、この街のニュースターよ」
「そんな恥ずかしいこと言わんで」
「まぁあとはいいお婿さんと孫だけ」
「……うるさいなぁ」
口が悪いから喋り方には苦労したし、実家にいた頃はずっとお店の手伝いをしてたから身なりも気にしてなかった。

「にしても……また気付かないのかね、あの謙二郎くんは」
母が大きくお好み焼きを裏返した。


「気づかんやろ……」
「うちが離婚して苗字変えたし、昔に比べて顔変わったしね」
「私は整形じゃない、メイクの力やて」
わたしは母の焼いたお好み焼きにソースと鰹節をかける。

「あの謙二郎って男も上手く雲隠れしたのー」
「そうね、でもうちらからしたら雲隠れにもなってない」
「そやの」
わたしたちはケラケラ笑う。

「……謙二郎はこの町では妾の子として言われとった」
「あっちは苗字変えてもバレとるわ、誰との子だってのはね」

母はドスッとお好み焼きを切った。
「妾が本妻と長女を追い出してあのホテルを乗っ取った……未だに許されんよ」

わたしはその切り分けられたお好み焼きを大皿に入れた。

そう、わたしたち母娘は元の苗字は

平良

であった。
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