胡蝶ミラへのエクスプレス
「おはよー拓磨、ねぇ土曜日どうだった?」
きっと早足で歩いていたはずなのに、ちょろっと隣に並んできたリンは笑顔で俺の顔を覗き込んできた。
挨拶と共に尋ねられ、リンは歩きながらニコニコこちらを伺っている。
「あー結局今回は、違うお店に行ったんよ」
「え、とんかつ食べなかったの?」
「うん、鍋食べた」
「あれ、予約してるって言ってなかったっけ」
──そうだ、あの時予約してるって言い方してたな。