可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる
その日の夜



「メルサ?知らないな。
侍女の名前は侍女長のミランダしか覚えていない。」



「そうなの・・・っ?」



フカフカ過ぎるベッドの上、裸になり座っている私の後ろにはステル殿下が座り、大きな身体で私の身体を後ろから包みながら胸を両手で揉んできている。



「凄く可愛い女だった・・・。
濃い水色の珍しい目をしていて・・・。
剣を持たせたら強くなりそうな女・・・。」



「ああ、なんとなく分かった。
俺がここに来た時は何かと世話をしてくれた子だな。
黒髪持ちだから他の侍女は誰も近付いてこなかった中、あの子だけは優しく世話をしてくれた。」



「メルサ、そんなに前からここで働いてるの・・・?」



「俺の3歳上と言っていた覚えがあるから、当時は13歳だったか。」



「だからあんな話を知ってたのかな・・・?
王宮勤めが長いから・・・。」



「どうせ噂話だろうな。
王宮でされている会話は鵜呑みにするな。
特に侍女の会話はな。」



「でも、王宮の1番の情報源は侍女からってチチが言ってた・・・っ。
話に尾ひれがついている可能性はあるけど、必ず噂話の元になっているエピソードもあるはずだって・・・っ。」



そこまで言ってから、私の胸の先を小刻みに刺激しているステル殿下の大きな手の上に自分の手を重ねた。



「もう・・・っ女の部分がダメ・・・っ」



「あと少し・・・。
柔らかくて触っているだけで気持ち良い。」



「半年前は本当にもう少し胸があったんだよ・・・?」



「筋肉だろ?」



「違う・・・っちゃんと胸・・・!」



「その胸、男に揉ませた?」



「揉ませてない・・・っ」



「見せたことは?」



「結構前にだけど、あるよ・・・。」



ソソと水浴びをしていた頃は毎日のように見られていた。
半年前よりは膨らんでいなかったけれど、ソソには見られていた。



「ステル殿下はある・・・?
私以外の女の胸を見たことはある・・・?」



「ない。」



即答し、私の身体を軽々と持ち上げ、あぐらをかいたステル殿下の上に股がるように座らされた。



ステル殿下の肩に両手をのせ、なんだか涙が出そうになってくる中でステル殿下の顔を見詰める。
月明かりの光りでステル殿下の美しい顔が照らされ、その目は怒りで満ち溢れている。



「俺も見たかった。」



その言葉には乾いた笑い声が漏れてしまった。



「半年前までの私をステル殿下には見られなくて良かった。
その姿をステル殿下が知っていたらこうやって子作りは出来ていなかったと思う。
だから、マルチネス王妃が癇癪を起こしている気持ちが理解出来ないわけじゃない。」



「俺はカルティーヌがどんな姿でも子作りが出来る。」



怒りで満ち溢れた目でステル殿下からそう言われたけれど、それについては何の返事もせずに小さく笑い掛けた。



「他の女に心が移り変わったら正室でも側室でも迎えていいからね。
私は何があっても強く生き抜けるから。
ステル殿下が私ではなく他の女の隣に並び続けていても、私はちゃんとステル殿下の聖女としての役目を果たす。
戦友として、この人生の最後まで。」



そう伝えたのに、ステル殿下は何も嬉しそうな顔にはならず。
その目にもっともっと怒りを込めて・・・。
口を強く結んだまま、私の女の部分の中にソレを貫いてきた。
< 59 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop