婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

23 最悪の出会い、あるいは最悪の再会②

 スカイヨン伯爵との挨拶回りが一通り終わった頃、さすがに疲労を感じたので人混みから離れようと思い、わたしはバルコニーまで移動した。
 ちなみに伯爵はローラント王国の令嬢たちに囲まれて、とんでもないことになっていた。


「ふぅ……疲れたわね」

 バルコニーからぼんやりと外を眺める。丁寧に整備された王宮の庭園はほのかに明かりが灯って、ほんわりと幻想的な雰囲気を醸し出していた。




 そのとき、


「よう、親友」

 出し抜けに人の神経を逆なでするような陽気な声が背後から聞こえてきた。
 ……ついに来たわね。

 わたしは振り返って、

 ――ゴンッ!

 レイの脛を思い切り蹴った。
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