婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
「…………話して、もらえるか?」レイが囁くように控えめに尋ねる。「もちろん、口外はしない。約束する。あと……その、さっきは辛辣な言葉を投げて悪かった」
「いいの。全部……本当のことだから」
そう、彼の言っていることは正論だ。これまで自分が耳を塞いでいたことを言ってのけただけなのだ。
一呼吸して、わたしはポツポツと話し始める。
「アンドレイ様から言われたの。このままでは婚約破棄になるって」
「なぜだ? 侯爵令嬢として、君に瑕疵なんてどこにもないと思うが……」
「わたしの能力が低すぎて王子の婚約者に相応しくない、って国の中枢部から話が出ているんですって。アンドレイ様はこれまで庇ってくださっていたらしいんだけど、もう無理かもしれないって。だから、反対勢力を黙らせるために一発逆転の大勝負に出ろって言われたの」